飛ばない蝶は、花束の中に


私…哀れまれた…?

私からお兄ちゃんを盗った、当の本人に?



「……………」


沸々と。

怒りのような。
焦りのような。

定まらない感情の波が、たまらなく情けない。


自分が、人から哀れまれることが、許せない。




リビングでは、泣き叫ぶような雅の声が不意に途切れて。

きっと、そのまま泣いているのかも知れない、と、思った。




深雪ちゃん?と。

静かにドアがノックされて、聞こえたのは。


“タカノ”の声だった。



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