飛ばない蝶は、花束の中に
長い指を伸ばして、エアコンのリモコンを取り上げた“タカノ”に、妙に緊張した。
ピ、と。
小さな音がして、フル稼働していたエアコンが、止まる。
「肌、乾くよ」
せっかく頑張って、きめ細かい肌を維持してるのに、と。
“タカノ”の指は、私の頬を指差す。
「雅ちゃんも少しは見習ってくれるといいんだけど」
あの子も、綺麗な肌してるのに、日焼け止めつけるのを怠るんだ、と。
柔らかく笑う“タカノ”は、昼間と、違う。
雅のことを話す時の“タカノ”は、とても綺麗で。
きっと、この顔が、本当の顔なのかも知れない、と。思った。
「…雅、ほっといていいの?」
唇から、目が離せない。
どうしても、意識してしまう。
「ほっといてないよ、大丈夫」
“タカノ”は。
今はあんたの方が問題アリ、と。
深く、ベッドに腰掛け直した。