飛ばない蝶は、花束の中に
「…………問題なんかないわ」
「そう?」
“タカノ”は、あっさりと視線を外したかと思ったのに、大きく体を傾けて、おどけたように、私を下から覗き込んだ。
「………大丈夫。時間が解決してくれるよ」
に、と言うか。
ふ、と言うか。
とにかく、微かに笑みを乗せた“タカノ”は、躊躇いなく、私の唇に、指を掠めた。
「…ファーストキス、ごめんね?」
深雪ちゃんが、凱司襲う前に…誰かがしとかないと、って思ってたんだ。
最初のキスって、結構記憶に残っちゃうしさ。
俺じゃ駄目なような気もしたけど…実の兄貴よりは、マシだと思うよ?
「…………」
勝手な事、言わないでよ。
勝手な事したくせに。
私は、お兄ちゃんが良かった。お兄ちゃんが良かったのに!
……どう、しよう。
“タカノ”の唇から。
目が、離せない。