飛ばない蝶は、花束の中に


「…どうしてくれるのよ、私のファーストキス」


本当は、1、2発殴ったところで、気が済む訳もない、と思っていたのに。


“タカノ”のせいだわ。

“タカノ”がちゃんと、雅を捕まえておかないから。



「だからお兄ちゃんが…雅なんかに…!!」


あんたのせいよ!
こんな、最悪の失恋。

お兄ちゃんが雅を忘れられないのも、“タカノ”のせい!

雅がはっきりしないのも、あんたのせい!


私のファーストキスまで…!!

あんたは、自分のことばっかりで!
都合良く雅を抱いて!!

お兄ちゃんの気持ちも、雅の気持ちも、何にもわかってないじゃない!!




一気に、そうまくし立てる私を。

“タカノ”はお兄ちゃんと同じくらい冷静に、ただ見つめていた。



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