飛ばない蝶は、花束の中に
「………」
“タカノ”のこんな情けない顔、初めて見た。
どうして、違うって言わないの?
どうして、そんな目で、雅を見るの?
雅が、真っ直ぐに見つめるのは、お兄ちゃんではなく“タカノ”で。
…私が、引き離した?
結局、私は。
鷹野さんを好きですよ、と、嘘をついてはいない雅の言葉を信じずに。
真っ向から…信じずに。
掻き回して、引き離した。
だけ?
……ううん。
更に、貶めようと、した。
「…雅………私…」
どう言ったらいいのか判らないし、何を言ったらいいのかも、判らなかった。
私から抜き取った“タカノ”の指を、雅は一度強く握って。
…誰も……触れてない女の子の方が、…いいに決まってますよね。
と、ひどく哀しげに。
そっと…離した。
私は、ぞくり、と血の気が引き、違う!と叫びたかったけれど、“タカノ”は。
折れるんじゃないかと思うほどに強く、いきなり。
雅の全身を、抱き締めた。