飛ばない蝶は、花束の中に



「……え?どういう…こと?」


確かに、小さい頃には気軽に…それこそ挨拶代わりにキスをしていた気がするけれど。

それとは、違う……んじゃないかしら…。


それとも、ファーストキスはお兄ちゃん、と思っていてもいいって事、かしら……。



いや、そんな事より……。

私と同じくらいには、この空気の変化に戸惑っているような雅が、戻らない顔色のまま、不安そうに視線を巡らしていることの方が、大事よね?



どうして“タカノ”は嬉しそうなのよ。

どうしてお兄ちゃんは満足そうなのよ。




「……あたし…今、どうなってるの…?」

「…………知らないわよ」



引き剥がされながらも“タカノ”の伸ばした腕に絡め取られたような雅が、不安も露わに、私をちらりと、見た。



< 262 / 328 >

この作品をシェア

pagetop