飛ばない蝶は、花束の中に


雅の、傷付いたような表情を、見つめた。

揺れに揺れる目の色は、こんなに表情豊かなのに。


いちいち声には出さない雅は、お兄ちゃんのシャツを掴んだまま。


仕方ないから、今はそれも許してあげよう…。

ほんとは、触らないでよ、って押し退けたいけど。



だって。

……お兄ちゃんが、大事にしてる。
私の大好きなお兄ちゃんが……大事にしてる、子だもの…。




少し、わかった気がする。


わがままを言わない雅。

思考を抑えつけて、呑み込んじゃう雅。


きっと、さっきも、今も。

唇を震わせて、身を引くような事態になる可能性が、強かったに違いなくて。


“タカノ”を私に押し付けて、お兄ちゃんに縋ることもなく、ただ殻にこもって耐えるような。


そんな、事態になる可能性が、きっと高かった。



だから。

そばにいたい、と口に出した雅に。


お兄ちゃんも、“タカノ”も、あんなに安心したような、顔をした、んだよね?



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