飛ばない蝶は、花束の中に
動じる。
その反応の方向は、真逆だった。
「……深雪、口出しするな」
見てろ、と。
お兄ちゃんが静かに言うけれど。
僅かに、私を抱える腕に、力がこもった。
一瞬ではあるものの、嫣然とした“タカノ”の目と唇とが、私に危害を加えないよう、護るように。
「待っ………」
雅は、お兄ちゃんのシャツから指を離した。
それはもう、弾かれたように。
「やっ……それは…いやっ!」
凱司さん!凱司さん!
あたし、嫌です!
我慢するから!
鷹野さんが何しても、あたし、我慢するから!
取り乱して小さく叫ぶ雅に、驚いた。
お兄ちゃんが舌打ちした事と、“タカノ”が深く頭を抱えたことに私は。
地雷を踏んだんだ、と。
お兄ちゃんの手を振り切って、“タカノ”に抱き付いた雅の、その、ついにこぼれた涙に、色々と後悔、した。