飛ばない蝶は、花束の中に
「みっ…雅ちゃん雅ちゃん!」
大丈夫だから!
落ち着いて!
ああ…痛そう。
“タカノ”の腕に、雅の指がきつく食い込んでる。
あれは…爪の痕が、腫れる。
私はお兄ちゃんの腕の中で、妙に冷静にそんな所を見ていたけれど。
“鷹野さんが何しても、我慢するから”と言った雅の気持ちを、理解できるような出来ないような、なんだかひどく苛つくような気分に。
抱きついていたお兄ちゃんの腰から、手を離した。
「……深雪?」
「…お兄ちゃん、私も…嫌だわ」
やや嬉しそうにすら見える“タカノ”も嫌だし、 我慢するから、と叫んだ雅も、嫌。
「雅!!」
力任せに、雅の腕を引き剥がす。
案の定、“タカノ”の腕には、引っ掻いたような痕が白く残り、尚も必死で“タカノ”に腕を伸ばした雅を、突き飛ばすように、お兄ちゃんに押し付けた。