飛ばない蝶は、花束の中に


「っ…とに、なにしてんの!」


雅のスカートを引っ張りながら、またも引き剥がす。


「お兄ちゃん!あっち向いて!」



ぎゅ、と。
拳を握りしめた雅の涙は止まっていて。

それでも、必死に嗚咽を呑み込んでいるんだ、と。

その途切れがちな呼吸に、思った。



振り向きざまに私に抱きついてきた雅は小さくて。
細くて。

こんな体で、よくも…“タカノ”はともかく、お兄ちゃんを受け入れたものだ、と、眉を寄せた。




「ごめんなさい…ごめんなさい、深雪ちゃん…」


鷹野さんが、酷いことして。

ファーストキスじゃ…なかったにしても………。

大事に……してたよね?
キス、大事だよね?


ごめんなさい。
ごめんなさい。

あたし……が、鷹野さんの気に入るように…出来ないから…!




囁くように。
叫ぶように。


雅は、なんだか衝撃的な事を、言った気がする。


ほら、“タカノ”が目を逸らした。




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