飛ばない蝶は、花束の中に
「…雅、紅茶の葉が切れてる」
お兄ちゃんは、やや憮然とはしているけれど、浮かんだままの苦笑を隠すことなく、雅を呼ぶ。
“タカノ”の生々しい弁解を、聞いているのかいないのか、といった感じだった雅は、私に。
申し訳無さそうに重ねて謝ると、立ち上がった。
私、思うのだけれど…。
雅は、ちゃんと…というか…。
“タカノ”は他人では無く、あくまで自分の…という意識が…ある、よね?
ちょっと…卑屈すぎるけど…。
「新しいの、買ってあります」
あたし、やります。
熱いのですか?冷たいの?
「雅ちゃん…マジ勘弁してよ…」
俺、どんな変態よ。
や、ほんとに俺が耐えられないだけで…いっぱいいっぱいで…
だって無理なんだよ!!
雅ちゃん必死過ぎて可愛すぎるし!!
たまんないんだって!!
「逆切れすんな馬鹿」
「凱司だってわかんなくないだろ!?」
わかんなくねぇよ、と。
あっさりと認めたお兄ちゃんは、わかったからもう黙れ、と。
紅茶を淹れるための、お湯を沸かし始めた雅と、“タカノ”とを見比べて、小さく呆れたように、息をついた。