飛ばない蝶は、花束の中に
「深雪、来い」
雅を左腕で抱え、私を右腕で呼んだお兄ちゃんは。
反射的に手を伸ばした“タカノ”を目で制すと、抱えた雅をそのまま、抱き上げた。
「……雅ちゃん…っ!」
「ごめんなさいっ…ごめんなさい…っ……だって…だって嫌なんです!!」
目を開けないまま、相変わらず“何が嫌”なのかを口にしない雅は、抱き上げられたまま、お兄ちゃんの首に、顔をうずめて、そう叫んだ。
「何を先に嫌がったら…いいのか…判らないんですっ……!!」
爆発したように叫ぶ雅は、お兄ちゃんの部屋に、私と一緒に、放り込まれた。
お兄ちゃんは、泣かずに待ってろ、喧嘩はするな、と言い残して。
追いすがった“タカノ”に手を伸ばしながら、ドアを、外から閉めた。
室内には。
私と、雅。