飛ばない蝶は、花束の中に


小さな爆発を起こした雅の興奮は、あっという間に消沈した。


部屋の外で聞こえる“タカノ”の……。



「…………っ…!!」


雅が身をすくめるほど、はっきりと判る、暴れて、殴られて。

倒れた、音。



泣かずに待て、と言ったお兄ちゃんの指示を頑なに守る雅は、私の存在などは見ていない。

話し掛けても良いようには見えないし、膝を抱える、そのスカートの中が、また丸見えな事も。

注意できるような、感じではなかった。




私は妙に冷静に。

思った通り以上の動揺と拒絶を、ようやく見せた雅に。

意地が悪いとは思うのだけれど…。



どことなく、ちゃんとした人間味を見た気がして、わずかに。

安心、した。




揺れに揺れて、卑屈な殻に閉じこもりかけた雅も。

“言いたい事、言えない子じゃないんだよ”なんて言った“タカノ”の言葉通りとは、思えないけれど。


なんとなく。
安心、した。




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