飛ばない蝶は、花束の中に


お兄ちゃんは、まるで他人事のように言うけれど。


こんなになる前に、“タカノ”にちゃんと…

妬かなくて大丈夫、って言ってやれば良かったんじゃない?





「なんで俺が?」

「……だって…」



私は。

連れられるままに、小さなブラッセリーに入った。

お兄ちゃんは私に何を訊くこともなく、スモークチキンのドリアを二人分、注文する。


それから。
注文を取りに来た店員に、ウォールナッツのタルトがあるか、訊いた。




「だって…」


なら、何がある?と。
お兄ちゃんは店員に訊きながら、私の前に、水の入ったグラスを置いた。




「……妬かなくても大丈夫なの、わかってるのに」




じゃあ、ゼリー以外を2個づつ、テイクアウト、と。


ちょっ…いくつ買うの…。




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