飛ばない蝶は、花束の中に


「なんでわざわざ言ってやらなきゃならない?」


「なんで…って…」




だって、だって。

雅が妬いたのって、別にお兄ちゃんが好きだから……とかじゃ…ないんじゃない?

あくまでも、雅は“タカノ”を好きで。

でも、いつも一緒に過ごしてるお兄ちゃんに構ってもらう時間が減ったことに……寂しくなったんじゃ…ないの?

子供みたいに。



お兄ちゃんは、私の顔をじっと見つめると、唇の端を上げた。

紙ナプキンを私の前に置き、深雪は…、と。



「俺に訊いたよな?深雪と雅、どっちも困ってたらどっちを先に助けるか」


「……うん、訊いたわ」



お兄ちゃんは、私を助ける、と言ってくれた。

雅には“タカノ”がいるから、って。



じゃあ“タカノ”がいなかったら?って訊くのが怖くて、訊かなかったけど。



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