飛ばない蝶は、花束の中に


「雅はな」

俺と鷹野、同時に溺れたら。


「選べなくて、泣きながら自分も飛び込んで死ぬような奴だ」



先に出されたアイスコーヒーをひと口飲み、お兄ちゃんは、自分の分で付いてきたガムシロップとミルクを、私の方に押しやった。


「俺も、鷹野も…雅が死ぬくらいなら助けなんか要らないと…思う」


だけど。

その後、苦しむならば、殺してやろうと…するのが、鷹野。

苦しんでも、生きて欲しいと思うのが、俺だ。


ああ、例えだ例え。
別に死ぬような目に遭った訳じゃねぇ。




私は黙って。

淡々と喋るお兄ちゃんの唇を、見つめる。



「生きて欲しいと思う俺の目の前で……破滅的な鷹野に丸投げできるか?」



お兄ちゃんの言う事は。

私には少し難し過ぎて。
正直……よく解らなかったのだけれど…。



< 289 / 328 >

この作品をシェア

pagetop