飛ばない蝶は、花束の中に
「雅はな」
俺と鷹野、同時に溺れたら。
「選べなくて、泣きながら自分も飛び込んで死ぬような奴だ」
先に出されたアイスコーヒーをひと口飲み、お兄ちゃんは、自分の分で付いてきたガムシロップとミルクを、私の方に押しやった。
「俺も、鷹野も…雅が死ぬくらいなら助けなんか要らないと…思う」
だけど。
その後、苦しむならば、殺してやろうと…するのが、鷹野。
苦しんでも、生きて欲しいと思うのが、俺だ。
ああ、例えだ例え。
別に死ぬような目に遭った訳じゃねぇ。
私は黙って。
淡々と喋るお兄ちゃんの唇を、見つめる。
「生きて欲しいと思う俺の目の前で……破滅的な鷹野に丸投げできるか?」
お兄ちゃんの言う事は。
私には少し難し過ぎて。
正直……よく解らなかったのだけれど…。