飛ばない蝶は、花束の中に


「………要は、いつでも雅を強奪できる位置に俺がいるって事、だ」


思考が後ろ向きにしか働かないような奴を、なんで俺が励まさなきゃならねぇんだ、腹立たしい。




「………お…お兄ちゃん…?」


それ……って…。



…情けないような。
可笑しいような。

ちょっと、初めて。

お兄ちゃんを、可愛い、と。
そう思った。





「………ヤキモチ?」


「…………あの野郎、これ見よがしにイチャつきやがる」




どこまでが本気で、どこまでが冗談なんだろう。


私のお兄ちゃんは、私の知らないところで。


普通の、人だったんだ。




わざとらしく、唇の端を上げたお兄ちゃんは。

運ばれてきた料理を2つとも私の前に押しやると、パプリカ、食え、と。

私の皿に、赤と緑を放り込んだ。



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