飛ばない蝶は、花束の中に
「…とは言え」
きれいにパプリカだけを私の皿に。
代わりにトマトを引き受けてくれたお兄ちゃんは。
私の顔を覗き込んだ。
「少し、野放しにし過ぎた。深雪、…悪かったな」
お兄ちゃんは、私の唇に、少しだけ指を滑らせる。
どきり、と。
確実に、どきりとはするのだけれど。
「私…も……ごめんなさい」
私が無理にしたキスを、お兄ちゃんは言わない。
呆れたように、でも、強烈にストレートな言葉で、私を押し止めただけ。
私の位置は。
確固たる“妹”。
どこにも、誰にも、遠慮することなく。
甘えられる、位置。
「私………」
お兄ちゃんが、好きよ。
お兄ちゃんが、雅を好きでも。
「でも私、もっとカッコいいと思ってた」
思わず、笑いが込み上げた。