飛ばない蝶は、花束の中に


「私の中でお兄ちゃんは…」


大きくて。
優しくて。
私だけを見ていて。

いつも、私だけを見ていて。


こんな、人間らしく妬いたりしない、完璧なお兄ちゃんだった。

ずっと、そうだった。




「ほんと…雅ムカつく」


涙も、込み上げる。

誰がなんと言おうと、私はお兄ちゃんを好きだった。


間違いなく、恋だった。



だけど。

困ったように、僅かに眉を下げたお兄ちゃんに、笑顔を向けた。



涙は、一度のまばたき分だけ、こぼれてしまったけど。





「私、どこにいても、妹でいられる?」



まだ、もう少し。
時間はかかる。

心は、失恋してる。


結構、痛そうな傷になってる。



なのに、理解した。
理解しちゃったから。


その傷を、自分で。
えぐってる気がするんだ。

温かくて分厚い、木のスプーンみたいなもので、ぐりぐりと。



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