飛ばない蝶は、花束の中に
車で来てしまったから、ビールもワインも飲めないお兄ちゃんが、さっさと食事を済ますのを眺めながら。
冷めつつあるドリアと、パプリカ増量のサラダを、食べた。
お兄ちゃんがパプリカ嫌いなんて、知らなかったもの。
こんな、あからさまに人に押し付けるなんて。
ちょっとカッコ悪いのが、すごく不思議。
テイクアウトのスイーツを受け取って、その箱の大きさに僅かに苦笑したお兄ちゃんも。
まさか“ゼリー以外”が10種類もあったなんて、思わなかったに違いなくて。
「…それ、どうするの?」
20個もの、ケーキやらタルトやら、シュークリーム。
「………テーブル置いときゃ雅がなんとかすんだろ」
「でも雅、いないじゃない…」
「ん?…ああ、いや…そろそろかと思ってるんだがな?」
また時間を確認したお兄ちゃんは、そんな、よく解らないことを呟いた。