飛ばない蝶は、花束の中に


車で来てしまったから、ビールもワインも飲めないお兄ちゃんが、さっさと食事を済ますのを眺めながら。

冷めつつあるドリアと、パプリカ増量のサラダを、食べた。


お兄ちゃんがパプリカ嫌いなんて、知らなかったもの。

こんな、あからさまに人に押し付けるなんて。


ちょっとカッコ悪いのが、すごく不思議。




テイクアウトのスイーツを受け取って、その箱の大きさに僅かに苦笑したお兄ちゃんも。

まさか“ゼリー以外”が10種類もあったなんて、思わなかったに違いなくて。





「…それ、どうするの?」


20個もの、ケーキやらタルトやら、シュークリーム。




「………テーブル置いときゃ雅がなんとかすんだろ」


「でも雅、いないじゃない…」


「ん?…ああ、いや…そろそろかと思ってるんだがな?」



また時間を確認したお兄ちゃんは、そんな、よく解らないことを呟いた。




< 294 / 328 >

この作品をシェア

pagetop