飛ばない蝶は、花束の中に


今は。

私に持たせるのだと、チョコレートキャラメルを作っていた。


私と同じ、高校生。
比べたくはないけど。


学力は私の方がある。
だけど、生活の能力は、雅にかなわない。

料理しかり、掃除しかり、洗濯しかり。


直接、お兄ちゃんの役に立つのは、雅の方。

私は、お米を研ぐことくらいしか、できなかったもの。




「ピーナッツバターのスクエアは?」

「いる」

「ミントマーブルゼリーは?」

「それは覚えたわ」




雅は。

“タカノ”が私にキスをした事を、悲しんだ。


でもそれは、“タカノ”に裏切られたような感覚は勿論あっただろうけど。
ファーストキスを、好きでもない男にされた私に、同情するような、感覚の。


想像したってよく解らないくらい入り組んだ、悲しみ。





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