飛ばない蝶は、花束の中に


正直、私が彼女なら。

“タカノ”を張り倒して、2度と口を利きたくなくなると、思う。

まさか、相手の女の事まで、気にかける余裕なんか、ないと思う。




「あ、あと、ほら、ポークソテーに掛かってた、柚子ソース」



私の夏休みは。

お兄ちゃんに、思うままに迫って。
お兄ちゃんが見守ると決めた、大切な関係を掻き乱して。

私とはまるで違う感性をした、雅を。

振り回して、振り回されて。



相変わらず、雅が起きてこれないほどに激しく愛す、顔の綺麗な、鬼畜が。

雅の一挙一動に右往左往するような、弱い存在だと、知った。





「わからなかったら、メールくださいね」



一見、穏やかで。

幼くて。

飛び抜けて可愛い訳でもない雅は。




お兄ちゃんの好きな、ひと。

でも、お兄ちゃんを選ばなかった、ひと。




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