飛ばない蝶は、花束の中に
「やっぱり似てるな」
「…私?」
「いや……」
ああ、お兄ちゃんの、ママ?
苦笑のような、懐かしむような、そんな、不思議な目。
お兄ちゃん、ママに会いに行かないの?
会っちゃいけない理由なんか、ないでしょう?
「……会いたくなった時には、会いに行くさ」
大勢になってしまった、私の見送りに。
ママは嬉しそうに、頭を下げる。
隣に立つ由紀さんが、綺麗に、きっちりとお兄ちゃんに挨拶をするのを横目で見て、真似をしている。
ママは、日本語があまり巧くはない。
日常生活に支障は無いけれど、一生懸命聞いて、一生懸命話さないとならないから、日本語は疲れるわ、と。
いつも言っていた。
近付けば、由紀さんはドイツ語で、私のママに。
叱らないであげてくださいな、と。
そう、言っていた。