飛ばない蝶は、花束の中に
きゅ、と。
抱きついてきた雅は、小さい。
いや、きっと私が大きいのね。
進学とか、どうでも良いけれど、私は、雅に言わなきゃならないことが、ある。
「ねぇ」
万が一にでも。
お兄ちゃんに、変な女がついたら、追い払ってよね。
お兄ちゃんが困っていたら、助けてよね。
あんたの直感で、構わないから。
それから。
もし、“タカノ”と別れるような時があったら、必ずお兄ちゃんを頼りなさいよ?
必ず、お兄ちゃんを選びなさいよ?
つらくても、お兄ちゃんならきっと、生きていける道の端を、見つけてくれるから。
雅は、私の言いたいことを、理解できたか、わからない。
ただ。
凱司さんは…変な女の子は選ばないと思うけど…なんて。
雅…今のところ、あんた充分変よ?
そのあんたを好きだなんて。
私、お兄ちゃんの恋愛センスは信じられないわ。
これっぽっちも。