飛ばない蝶は、花束の中に
「遅くなった」
お兄ちゃんは、大きな荷物を担いでいた。
まず“雅”が手伝おうとしたのか、手を出しかけるのを押しとどめ、“タカノ”が立ち上がる。
「深雪ちゃんの布団?」
「ああ。ヤローは転がしておけるが深雪じゃそうもいかねぇ」
…え?
「…いいの?」
思わず、そんな事を口走ってしまった。
あんなに、夏休みはここにいる、と勇んで出て来たのに、いつの間にか挫けていたみたいで。
怪訝そうに、だってお前、休みの間、ここに居るんだろ?と。
当たり前のように答えたお兄ちゃんに、つい、涙腺を緩めてしまった。
「…雅、郵便物預かって来た」
お兄ちゃんは、そんな私に気付かなかった訳はないと思うのに、手に持った“雅”宛ての封書とハガキを、放り投げるように、テーブルに投げ出した。