飛ばない蝶は、花束の中に


「女の子ですもん、個室無いと着替えも出来ないですよ」


「お前はどうすんだ」


「夏ですし。寒くないから別にどこでも大丈夫です。リビングが邪魔なら廊下でも」




淡々と漏れ聞こえる会話に、今度ははっきりと、鳥肌が立った。


「………ちょっと!!!」

黙って聞いてれば!!



「………お兄ちゃん!? なんでそんな卑屈な事言わせてるの!?いつからお兄ちゃんはそんな男になっちゃったの!?」


いくらメイドだと言い張ったって!
その子、私と同じくらいの女の子じゃないのよ!

急に来た私に、1ヶ月も泊まり込むって言われて!

挙げ句に、無視されて!


大事にしてたろうに、向日葵踏みつぶされて!

せっかく作ったプリン、無駄にされて!


それでも怒った顔見せないだけでも、充分異常なのに!!




「…い…異常…?」


わずかにショックを受けたように私を見た“雅”が、そう呟く。


視界の端で“タカノ”は、シンクに突っ伏すように、肩を震わせ、多分、笑っていた。




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