飛ばない蝶は、花束の中に
「お兄ちゃん!」
「……んだよ」
「私、お兄ちゃんと寝るから」
そうよ。
私がお兄ちゃんの部屋に寝かせてもらえば、いいんじゃない。
「ね?」
私は立ち上がって、“雅”を押しのけた。
きゅ、と、正面からお腹に抱き付いて見上げれば、お兄ちゃんは目を逸らす。
「……」
「お兄ちゃん?」
ゆっくりと視線を私に戻したお兄ちゃんは、ちらりと。
私の胸元を、見た。
「駄目だ」
「……どうして!?」
再び視線を逸らし、私を引き剥がしたお兄ちゃんは、スタスタとテーブルから煙草の箱を取り上げてから、そのまま。
相変わらずシンクに突っ伏したまま笑いをかみ殺している失礼な“タカノ”の頭を、殴った。
「鷹野、お前の部屋だ」
「はいはい」
えぇ!?
……えぇぇぇぇ!?