飛ばない蝶は、花束の中に


「それはそれ。黙って居なくなったら、心配するだろが」


「だって!!」


“雅”が、ボーンチャイナのような、滑らかな白の皿を、運んできた。

乗っているのは、パッと見の彩りは綺麗な、料理。



そういえば。

私が急に来て、材料は大丈夫だったのかしら。

こうしてお皿が並ぶまで、気にもしなかったけど。





「まあ、夏休みは泊めてやる。その代わり、母親ときちんと話をしろ」


ナイフとフォーク。
ピンク色の胡椒の粒。

グリルされたチキンと。
マッシュされた、ポテト。


それと、私の嫌いな…。





「トマト、いや?」


私が、皿の上の赤に向けた目を見たのか、“雅”は小首を傾げて、動きを止めた。



嫌、だけど。

作って貰ったものを嫌いだとか言ったら……。


今度こそ、お兄ちゃんに叱られる。




< 43 / 328 >

この作品をシェア

pagetop