飛ばない蝶は、花束の中に
「あ…、えと…1人だけど昼間だから……いい、ですか?」
「………………」
「…………だ…めですか?」
「………………」
……え?
1人で出歩かせて貰えないの?
「なに、雅ちゃんどこ行きたいの?」
「……いえ…ちょっと、美術館にでも……」
やっぱりいいです、と小さく笑う“雅”は、いつもそうなのか、さほど残念そうな素振りは見せずに、トマトをぱくりと口に入れた。
「……友典…は」
「友典さんは入試控えてますから」
「…………」
そうか、と口ごもり、思い悩むお兄ちゃんを横目に、私はまたイライラと。
だって。
子供じゃあるまいし、どうして1人で美術館くらい、行かせないの?
友典、が誰だかも解らないけど。
私がいなければ、お兄ちゃんが付き添うの?
「…どうして?」
おかしいじゃない。
私は1人でここまで来たのに。
“雅”は私と変わらない歳でしょう?
遊びにも行かれないの?