飛ばない蝶は、花束の中に
誰も行きたくはない、美術館。
私も“雅”も。
お兄ちゃんは面倒そうに、私と“雅”とを見比べて。
「明日は、駄目だ」
と、ひとことだけ、そう言った。
お兄ちゃんが“駄目だ”と、こんな調子で言うときは、絶対に駄目。
小さな頃から、きっと変わらない。
私は、半分ほっとしながら。
でも半分は、反抗的な気分で、皿の残りを平らげた。
何を言うでもなく、ゆっくりと食べ終わり、それきり美術館の事には触れなかった“雅”が。
立ち上がり様に、私を手招いた。
正直、おとなしく応じるのは嫌だ。
だけどもう、無視なんか出来ない。
渋々立ち上がった私に、お兄ちゃんは。
荷物はそれだけなのか?と、私のバッグを指差した。