飛ばない蝶は、花束の中に
なんだか、疲れちゃった。
“雅”の部屋。
“雅”のベッド。
あっさりと自室を明け渡し、さっさと自分の布団を運び出した“雅”。
私なら、できない。したくない。
私物がたくさんある、自分のプライベートな筈の部屋を、同性に明け渡すなんて。
だって、あの机は“雅”が普段、勉強したりしている場で。
引き出しには、何かと大切な物もあるだろうに。
明日、教科書とかよけるから、今夜は我慢してくれますか、なんて。
どうして言えるんだろう。
慌てたように、テキパキとベッドを整えた“雅”は、ちらりと。
お兄ちゃんの腕に絡みつく私に笑みを向けると、そそくさと出て行った。
じわり、と。
私の胸の奥に、貼り付くように残っている不快感は、その“雅”の。
お兄ちゃんを見た、目に。
大きく膨らんだ。