飛ばない蝶は、花束の中に
「あの子………」
“タカノ”の彼女、よね?
「………………そうだな」
一本一本、番号を確認しながら箱に戻し終わったお兄ちゃんは、スケッチブックを閉じると、重ねて手に取った。
「お兄ちゃんの事は……?」
もしかして、好きなんじゃないか、って。
“もしかして”どころじゃないんじゃないか、って。
ただの勘ぐりすぎかも知れないけれど、私には、そう見える。
「…これ、な」
お兄ちゃんは答えない。
答えない代わりに、スケッチブックに視線をやった。
「一番好きな事なんだと」
あんまり描くから、昼間、やめさせたんだ。
今はまだ、ひとりで外に出してやれないからな、コレで発散してるんだとは思うんだが…。
「落ち着いて見えるが…これを忘れて行く程度には、お前に動揺してるんだろ」
お兄ちゃんは、笑わなかった。私も、笑えなかった。
どう、取ったらいいのか、わからない。