飛ばない蝶は、花束の中に
「あの…生地が出来てるから…クルミの焼き菓子も…出来るけど…」
クルミも嫌い?
困ったような“雅”。
おどおど、とも違うけれど、どこか退き気味の態度は、やっぱりイライラする。
「………やっぱり、いい。私、カフェオレがいい」
サンドイッチくらいなら、代わりに作ってあげてもいいと、思った。
“タカノ”はともかく、お兄ちゃんの朝食くらい、用意する、と思った。
けど。
「甘くする?」
ほっとしたように、椅子から立ち上がった“雅”と、夏休み中ずっと一緒にいられるか、不安に、なった。
青白い顔で。
掴んだ肘は、弱々しくて。
寝たんだか寝てないんだかすら答えなかった“雅”と。
1ヶ月も、私は爆発しないでいられる?
リビングのドアが開いて、上半身裸のままのお兄ちゃんが入ってきて尚、私の眉間には、シワが寄ったままだった。