飛ばない蝶は、花束の中に
“雅”は、聞こえてはいても、聞いていないのかも知れない。
知らん顔で、キッチンにいる。
自分の事を話されていて、こうも無関心でいられるもの?
小さく、タイマーのような音がして。
せかせかと動く“雅”を、ずっと目で追っていたことに気が付いて、私は。
慌てて目の前のカフェオレに、口を付けた。
確かに、“雅”は可愛いのかもしれない。
容姿は、だけれども。
肩口までの黒い髪は、柔らかく顔を縁取って。
エキゾチック、とまでは行かないけれど、切りそろえられた前髪に、どこかセクシーな、人形のような印象もある気がする。
「……深雪ちゃん?」
ただ、人形のような印象、は。
その表情の乏しさから受けているのかも知れない。
数種類の笑顔しか、無いんだろうか。