飛ばない蝶は、花束の中に
「雅ちゃん雅ちゃん」
こっちこっち、と手招きする“タカノ”に素直に近寄った“雅”は、その腕の中から、ひどく嬉しそうな笑顔を浮かべて、私に頷いた。
「はい、粉…から!成形して冷凍しておいたから…この前、お店で作ったレーズンのピューレで…!」
何をそんなに照れるのか、“雅”は興奮したように一気に喋ると、不意に、大きく息を吸い込んだ。
すぅっと。
紅潮した唇から血の気が引いて、体勢を崩す。
「うわ、雅ちゃん!?」
「……あ…ごめんなさい、ちょっと…貧血?」
嬉しくて急に喋りすぎました、と、照れたように笑うけれど。
“タカノ”の腕の中で、元の青白い顔色になってしまった“雅”に、手を伸ばしたのは、お兄ちゃん。
「あとは、いい。少し休め」
“雅”の頬に触れて下瞼を下げ、その血色を見たお兄ちゃんはやや、不機嫌そうで。
少しは手加減してやれ、お前は鬼畜か。と“タカノ”の頭を、小突いた。