飛ばない蝶は、花束の中に


青がいいな。
濃くて澄んだ青がいい。


と、私を値踏みするように眺めた“タカノ”がそう言っていたのを気に留めていたのか、お兄ちゃんは。
青い水着を何枚か、選んだ。


スクール水着の紺色とは程遠い、艶やかな、鮮やかな青。


私が手に取ってみたのは、大きな白いハイビスカス柄の派手な物だったけれど、地の色は、やっぱり青だった。


なんだか少し悔しいけれど、鏡の前で合わせてみた、どの色よりも、青が。

綺麗に見えたから。




「お兄ちゃんは、どれがいい?」

「…深雪が気に入ったものを買えばいい」



冷たい訳じゃない。

一見、冷たそうに見える目の色も手伝って、素っ気ないようにも思えるけれど、全然そんなこと無い。


今も私は、周りの人間の視線が、綺麗で大きな私のお兄ちゃんに注がれるのを、この上なく幸せに、感じる。




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