飛ばない蝶は、花束の中に
私のお兄ちゃんは。
背が高くて。
顔立ちも綺麗で。
優しくて。
お金持ってて。
「お兄ちゃん、こっちのも欲しい」
「あぁ、いいんじゃねぇか?」
何でもじゃないけど、私の我が儘を聞いてくれて。
タトゥーだらけの腕で、ひらひらとフリルのたくさん付いた白い水着を手に取って、睨むように見つめるお兄ちゃんは、ちょっと変かも知れないけど。
「2枚!買っても良い?」
「……せっかく来たんだ、他の色も買えばいい」
我に返ったように、白い水着を元に戻したお兄ちゃんは、私の選んだ、少しだけ露出度の高い2枚を受け取ると、値札を見ることなくカートに放り込んで。
日焼け止めも見てこい、真っ赤になるんだから、って。
我が儘を、聞いてくれる。
大抵の事は受け入れてくれる。
けど。
見ていた白い、水着は。
私のじゃ、ない…よね?