飛ばない蝶は、花束の中に
空は。
大きな真っ白い雲をわき上がらせる。
冷たそうな海とは裏腹、熱く温められた空気の層に、その色をくすませた。
夏の、空。
熱い潮風と、たくさんの、人。
確かに、小さな頃に行った海は、この辺りではなかったんだ、と実感した。
「俺はいい」
「なんで!? 一緒に行こうよ!」
「水遊びって歳でもねぇだろ」
照りつける太陽に、苦笑したお兄ちゃんの金髪がまぶしい。
きっと、私の金髪も。
「荷物、見ててやるから」
だから、遊んでこい。
そんなつまらない事を言うお兄ちゃんは、本気で海には入らないつもりなのか、所狭しとひしめく海水浴客の波の中へ、私を押し出した。