カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
「怪しい」? どこが?
ていうか、逆に怪しくないとこがないくらいかもしれないけどね。
首を傾げて、眉根にシワを寄せて森尾さんに疑問の目を向ける。
「カンです。でも、あたしのカンて、当たりますよ」
「『カン』?」
「阿部さん、昨日彼に電話は?」
そんな脈絡もない質問に目を白黒させたけど、森尾さんの目は陥れたり騙したりしようとしてる目じゃないとわかった私は、短く「いいえ」と答えた。
それを確認して私に近づいてきた彼女は、小声で口元に手を添えながらこう言った。
「昨日、彼に掛かってきた電話。たぶんオンナですよ」
……オンナ、か。
別に森尾さんの言うことを100パーセント信じるわけじゃないけど、でも仮にそれが本当だとしても、特別衝撃を受けない。
だって、どこにも“自分だけ”なんて確約、なかったから。
「おお! 阿部! 朗報!」
営業部に戻るや否や、正面奥のデスクから、部長に話しかけられた。
「朗報」? っていうことは、もちろんいい話題ってことよね。でもなにかあったかしら……。
頭がまだ切り替えられないうちに、部長はそのまま満面の笑みで話を続ける。
「阿部の提案、概ね賛同得られたから。あとは企画や開発とネタを行き来させてやったらいいぞ」
――――やった。