カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
――沸騰しそうな頭で、体が勝手に動いてしまった。
要の手を思い切り撥ね退けた私は、この場にいられずに席を立った。
なに? なんなの? なんでこんな情緒不安定みたいになっちゃってるの、私。
今までみたいにうまく交わして、仕事だ、って割り切って。顔には笑顔浮かべて、頭の中では冷静に対処する。
そうやってすればいいだけの話よ。なにも難しいことじゃないはず。
だって、つい昨日までそうしてきたじゃない。
落ち着こうとして、自分にそう言い聞かせているはずなのに、呼吸は荒くなる一方。
そして心の隅の方では、もう一人の自分が私を追い込む。
『仕事ばかり頑張ったって、結局あんたはひとりでしょ?』
『いくら自分を磨いても、若い子には敵わない』
『唯一の“仕事”も今になって躓いて』
『あんたの価値って、なに?』
奥歯をギリッと噛んで、目を強く閉じる。
今、なにかを発すれば、なぜかわからないけど涙が出そうで。
強く、強く。
歯と、握る手と、力をめいっぱい入れて、出来るだけの酸素を胸に吸い込んだ。