乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
ひらひらと、一枚の小さな紙が落ちた。
胸がドクンと音を立てたのがわかった。
“CLUB AQUA RIKU KIRITANI ”
なに…これ…
頭が真っ白だ。
クラブアクア…?キャバクラの名刺だけど、名前は陸さんの名前だ。
もしかして…ここで働いてるの…?
その時、洗面所で音がしたのであたしは咄嗟にその名刺を自分のポケットに入れた。
心臓は鳴りやまない。
陸さんの顔が見れなくて、あたしはベッドに入って寝たふりをした。
お風呂から上がった陸さんはあたしが寝てると思ったのか、TVの音量を低くした。
そして煙草に火をつけるとベッドに腰を下ろした。
「…奈緒?寝たのか?」
そう呼ばれても返事ができなかった。