乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


美優さんの手には、るるぶ(旅行雑誌)があった。



「いえ…行ったことないです」


「そっかぁーあたしもないんだよね…京都って色んなお寺あるけどやっぱり最初は清水寺かなぁ!?そこの近くに地主神社っていう縁結びの神社があるんだけど、彼氏と行きたいなぁって思って」


…彼氏?


「彼氏ですか…?」


「うん。藤沢さんに相談してた元彼とね、うまくいきそうなの」


美優さんはすごく幸せそうな笑みを浮かべながらそう言った。

あたしは頭を鈍器で殴られたような感じがして、その場から動けずにいた。



「藤沢さんが頑張れって言ってくれたからね、頑張れたんだよ。ありがとう」


眩暈がした。鼓動も早くなっていく。


それって…それって…


陸さんの事だよね…?


< 169 / 296 >

この作品をシェア

pagetop