恋する季節 *- confession of love -*


素直に過去の出来事を話した美琴に大和は「そっか……」と落ち着いた声で頷いた後、「お願いがあるんだけど」と美琴に言った。

――俺といる時は、俺の周りじゃなく俺だけを見て欲しい。
――せっかくふたりでいるのに、周りの目に邪魔されて俺を見てもらえないのは悔しいからさ。

美琴は言われた瞬間、その通りだと思った。
今まで自分はなんて失礼な事をしてきたんだろうと。

今まで誰と話しても周りの目ばかりが気になって、目の前の人をしっかり見ていなかった自分に気づかされた。
大和の言葉は美琴にとってとても衝撃的だったし、今までの自分を否定するものにも思えたけれど……でも正論で真っ直ぐだった。

大和の隣が心から心地よく思えてきたのは、それからだった。
そして告白されて付き合っている今も、その心地よさは変わらない。

「大和は……今までゆっくり私のペースに合わせて歩いてきてくれた。
本当にゆっくりだったのに、嫌な顔見せないで、いつも優しく微笑んでくれて……だから、安心してここまでこれた」

そう思い出すように話し出した美琴に、彩乃が頷く。


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