恋する季節 *- confession of love -*


「そうねー。本当にスローペースだったし黒崎じゃなかったらきっと耐え切れなかったよね。
好きなのに二年も友達だけで我慢するなんて、思春期の男にはもう拷問よね」
「……え、そんなに?」

美琴からすれば、大和への想いは初恋に近いというか、ほぼ初恋そのもの。
よって、美琴は一緒にいられればそれだけで嬉しいと感じていただけに、隣で笑っていた大和は実は内心では物足りなかったというか、拷問を受けている状態だったのだろうかと驚いた。

拷問とまで言い切られてしまってさすがに聞き返すと、彩乃は「当たり前じゃない」と答える。

「やりたい盛りなのに、しかも好きな子が隣にいるのに、キスもできずにいるのよ? 拷問以外の何物でもないでしょ。
それをただ我慢してるんだから、それだけ本気って事なんだろうけどね」

今まで異性との接触を極端に避けてきた分、男がどういうものなのかよく理解していない美琴にとっては、彩乃の説明は衝撃的だった。

彩乃の言葉を真に受ければ、好きな子が隣にいたら襲い掛かるものだとでも言っているように聞こえてしまい戸惑った美琴だったのだが……。

彩乃が最後に言った本気という言葉に、その戸惑いも消える。
大和の気持ちが本気だと言う事は、美琴が一番よく分かっているのだから。

うん……と頷いた美琴が、目を伏せたまま続ける。


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