絶滅危惧種『ヒト』
「何か普通の氷と変わらない気がするけど……」


グラスの水を味わいながら、梓が氷を見つめる。



「いいよオマエには何も期待しないから」


孝明はやや投げやり気味に言った。



「だって味なんかないじゃん」



「はいはい。そうですね。今度はペンギンの肉を持って帰ってきますよ」


「ちょ、生きてなきゃヤダよ!」


梓より先に栞が言う。





「あっ!」


「何?」
「何よ?」


突然声を上げた孝明に、梓と栞が同時に聞いた。



「そういえば梓の彼氏の話が途中だった」


「ちょ!」


梓は焦ってすぐに父の顔を見る。



「彼氏? オマエ彼氏がいるのか?」


突然父の顔から笑顔が消える。



(タカ叔父ちゃんったら余計なことを……)


梓は孝明を睨んだ。

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