絶滅危惧種『ヒト』
「一応、東城医大を受けるって」



「ほう……そうか」


「止めとけ梓」


突然孝明が口を開いた。



「ちょ、何でよ?」


「医者なんかろくなヤツいねぇよ」



「それ凄い偏見」


梓はカチンときて孝明を睨む。



「まぁ、中には……」


言いかけて孝明は、梓の目をジッと見つめて言葉を止めた。



「何?」


「何ていったっけ? 彼氏の名前?」



「桜小路聖人くんだけど」



「桜小路……。もしかしてお父さん、桜小路昇か?」


「え?」


「誰だそれ?」


彰洋が聞く。



「名前は知らないよ」



「そうか……」


孝明の出した名前を、誰も知らなかった。

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