絶滅危惧種『ヒト』
初めてのデートだから着ていく服に迷う。


なんせ相手は20歳も年上の、大人の男性なのだ。


実は朋美は少し幼めの服しか持っていない。


こんなことなら、それなりの物を買っておけば良かったと思っても、今無いのだからどうしようもない。


持っている服の中で、一番シックなものを選んで着替えた。


服を着替えると、すぐに化粧に取り掛かる。


実は朋美は日々ほとんどスッピンで、まともにメイクをしたことがない。


初めてのデートで相手を待たせる訳にはいかないし、だいたい少しでも長く一緒にいたいのだから、

遅刻自体がイヤなのだけど、やっぱり少しでも綺麗に見られたいのが、乙女心というものなのだ。


普段し慣れないのに、焦っているから、段々酷くなってきた。


何やってんだろう私……。もう半泣き。


結局朋美は諦めて、一度全部メイクを落とし、薄いルージュだけを引いて出かけることにした。


急いでドラッグストアまで出ると、孝明はまだ到着していない。


とりあえず初めてのデートの遅刻は免れた。


でも……これってデートなのかな?

相手は親友の叔父さんで、20歳も年上。年甲斐も無く一目惚れなんかして、舞い上がっているけど、

向こうは私のことなんか、子供としてしか見ていないかもしれないのだ。


そう思うと、無性に切なくなるのだった。

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