絶滅危惧種『ヒト』
「本当、本当。もちろん本当。どんな車が良い?」


「ん~~~~と」


そう言われても、車のことなんて全く分からない。


「ごめんなさい。あんまり車に詳しくなくて……」



「えっ、そうなの?」



「はい。実はうちってお父さんがいないんですよ。それにお母さんも車なんて持ってないんで、全然車に触れる機会がなくて……」


「そっか」


「はい。なので本当は何でも良いんです。いつもバスか電車だから、こうやって一緒に乗っていられるなら、レンタカーでも充分です」


「あはは。でも毎日借りに行くってのもね……」


「そうですね。でも、本当に何でも良いですから」


朋美は微笑んだ。


「じゃあちょっと、マジで何か買おうかな」


孝明も微笑む。


「あのぉ~」


「ん?」


「車は所有してると無駄なお金がっておっしゃいましたけど、家ってどうされてるんですか?」


「え?」


「ずっと借りっぱなしじゃ家賃がいるし、かといって荷物を全部南極に持っていくわけにもいかないだろうし……」


朋美は気になったことを聞いてみた。

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