絶滅危惧種『ヒト』
「あぁ、そういうことか。家は持ち家だよ」


「へぇ~お金持ちなんですね」


「あはは、実家だよ。梓の母親と俺が生まれ育った家。両親も他界してるから、俺しか住んでないんだけどね」


「へぇ~」


「住んでない間も、さすがに固定資産税は払わなきゃならないけど、まぁそれくらいはね」


「そうですね」


「でもさぁ、長いこと誰も住んでいないと、家ってやっぱりダメだよ。空気の入れ替えって本当に大事。久しぶりに帰って来るとさぁ、もうどんどんボロボロになってる感じ」


「へぇ~そうなんだ」


「とりあえず大掃除をしなきゃならないんだけど……」


「してないんですか?」



「うん。昨日帰って来てすぐに梓の家に行ったでしょ。で、夜中まで飲んで、うちに帰ったら、そのままカビ臭い布団で爆睡」


朋美は『カビ臭い』と聞いた瞬間、眉をしかめた。


「それで今日は昼前に目を覚まして、すぐにレンタカーを借りて、職場にちょこっと顔を出してから、こっちのお世話になってる知り合いのところを回ってさぁ、それから携帯電話を買いに行って今に至るって感じ」


「ああ、なるほど」


「ところでさぁ、どこに行きたい?」


孝明が優しい目で微笑んだ。

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