絶滅危惧種『ヒト』
東城医大病院は、自転車で行くには少し距離があるけど、朋美はそのまま飛び乗って走り出す。


すぐに携帯電話を取り出して、孝明の番号にかけてみたけど繋がらない。


朋美は不安で泣きそうだった。


後ろから梓が名前を呼びながらついてくるのにも気がつかずに、朋美はひたすらペダルを漕ぎ続ける。


昨日まであんなに元気だった彼が、死んでしまったなんて信じられる訳がない。

風邪気味だとは言っていたけど、それで死んじゃうことはないだろうから、おそらくは事故。


何でこんなことに……。


間違いであってもらいたい。


朋美は必死で自転車を漕いだ。一分でも一秒でも早く病院に行って、真相を知りたいのだ。


「朋美ぃいいい」


信号で止まったとき、ようやく朋美は梓がついて来ていたことを知った。


信号が変わるのが待ち遠しい。


「ちょっと朋美ってば」


梓が話しかけてくるけど、朋美はそれを無視して、信号機を見続けた。


そして、青に変わったと同時に、また漕ぎ始める。


結局病院までの一時間、朋美は梓と会話をすることも、休憩をすることもなく、自転車を漕ぎ続けた。

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